Kang & Kilpatrick (1992)

Kang, W., & Kilpatrick, J. (1992). Didactic transposition in mathematics textbooks. For the Learning of. Mathematics, 12(1), 2-7.

だいぶ前にこの論文について触れられているものを読んだ.米国でもフランスの数学教授学を中心に据えた研究があったのかと思い,一度読もうと思っていたのをやっと今日読んでみました(余談:FLM はネットで手に入らないから面倒).

論文は,教授学的変換(教授学的置換:まだ訳語がどっちがいいか迷っている)の視点から教科書や授業での変換プロセスを分析したもののまとめでした.後半の方は,ブルソーのいろいろな現象(トパーズ効果やメタ認知シフトなど)を教授学的変換の視点から例を挙げながらどのような変換プロセスがあるか示していました.

内容自体は普通でしたが,一ヶ所「そう言えば」とちょっと考えたところがありました.それは教授現象の一つである formal abidance (ブルソーの語では,metamathematical shift)の例のところです.著者はこの現象の例として一般から特殊への教授法をあげており,一般から特殊に基づいた教科書が米国で19世紀に出版されていたことに触れられています.参考文献は,Rash (1975) です.

ここで思ったのですが,米国の教科書を見ると,幾何も代数も高校では,どうもまだ一般から入っているように思えます.おそらく教科書自体の数学を厳密にするためなのかもしれませんが,子どもは覚えることがたくさんあって大変そうです.例えば,この論文でも指摘していますが,代数計算に関して最初に公理がその名前とともに与えられているなどです.そのため,こっちの高校生は「結合法則!」とか「分配法則!」などの言葉を意外とよく覚えています.
一方,「一般から特殊」を考えてみると,1960年代の数学教育の現代化も言ってしまえば,同じ現象を推進していたように思えます.一般から特殊の代わりに抽象から入りましたが,ほぼ同じことではないでしょうか.数学自体の出来上がった形 (formalise されたもの) が一般的で様々なものに適応できることを考慮すれば,一般から入った方が学習が速いと思うのはよくあることなのでしょう(もちろん意味の理解は伴いませんが).

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